「まずLPを作りましょう」と言われて、話が止まることがあります。
広告の会社に相談すると、LPという言葉が出てきます。ランディングページの略で、上から下まで1枚に全部入っている縦長のページのことです。ホームページと何が違うのか、なぜ別料金なのか。ここで話が止まる店主は多いです。この記事は、うちの店にはどちらが要るのかを、店の商売の側から決めるために書きました。
作りの違いは、ひとつだけです。1枚もののLPは、読む人を上から下へ順番に運んで、最後のひとつの行動に向かわせます。複数ページのサイトは、読む人が自分の知りたいところへ直接飛べます。宴会の総額を知りたい人はコースのページへ、今日やっているかを知りたい人は営業時間へ。この差が、そのまま向き不向きになります。
1枚ものが向くのは、期間が決まっている告知です。
冬のカニのフェア。周年の感謝企画。忘年会の受付開始。こういう告知には、1枚もののほうが向いています。伝えたいことがひとつで、終わる日が決まっているからです。
上から順に、何のフェアか、いつまでか、いくらか、何名から受けるか、どこから申し込むか。この順番で読ませて、最後に予約の受け口を置きます。途中で他のページへ逃げ道を作らないほうが、読み切ってもらえます。広告を出して、その広告から来た人に見せる場面とも相性がいいです。
逆に言えば、フェアが終わればこのページの役目も終わります。1枚ものは、そういう使い方をする前提のものです。
ひとつ気をつけたいのは、1枚ものは人が来て初めて働くという点です。SNSで告知するのか、チラシに刷るのか、広告を出すのか。そこまで決まっていない状態で1枚だけ作ると、誰にも見られないページが1枚残ります。作る前に、どこからこのページへ人を送るのかを決めておいてください。
店名で調べ直した人を受け取るのは、複数ページのサイトです。
グルメサイトや人づてで店を知った人は、そのあと店名でもう一度検索します。写真をもっと見たい。今日の営業時間を確かめたい。地図を開きたい。理由はばらばらです。
このとき出てくるのが1枚もののフェア告知だけだと、その人は欲しい情報にたどり着けません。縦に長いページを、指でひたすら送ることになります。営業時間はどこか、席は何名まで入るのか、駐車場はあるのか。目的が人によって違う以上、飛べる形になっていないと受け止められません。
店名で調べ直す動きについては、グルメサイトの手数料と直接予約の話のほうに詳しく書いています。
もうひとつ、飛べる形にしておくと、店の中でも使えます。会計のときに「詳しくはうちのサイトに載せています」と言える。名刺やショップカードにURLを刷れる。卓上の小さな案内から、コースのページへ直接飛ばせる。1枚ものだと、送った先が毎回同じ縦長のページになるので、この使い方ができません。
新規オープンの告知は、開店した日から中身が変わります。
オープン前は、いつ開くのか、どこにあるのか、何の店なのか。この3つで足ります。1枚もので収まる情報量です。
ただ、開店した翌日から、必要な情報が入れ替わります。メニューと値段。席数と個室の有無。予約の受け方。ランチをやるならその時間。オープン告知のページを作り直すのではなく、最初からサイトとして組んで、その中の1ページをオープン告知に使うほうが早いです。開店の日が過ぎたら、そのページをお知らせに変えれば済みます。
開店の準備は、内装も什器も採用も同時に進みます。あとで作り直す工程を残さない形にしておくほうが、楽になります。
宴会の集客は、1枚ものだと幹事が比べられません。
宴会を決めているのは、来る人ではなく幹事です。幹事は候補を3つか4つ並べて、一人あたりの総額、飲み放題の有無と時間、ラストオーダー、入れる人数を見比べます。そして決めたあと、社内にURLを送ります。
送られたURLを開いた人は、幹事とは違うところを見ます。場所はどこか。駅から何分か。座敷か椅子席か。1枚ものだと、この人たちが見たいところへ飛べません。宴会のページは、幹事と、幹事が説明する相手の両方が読みます。
加えて、当日1名減った場合の扱い、アレルギーの相談、持ち込みの可否。幹事がいちばん不安なこの3つは、フェアの告知には入りません。書いてある店がそもそも少ないので、書いてあるだけで候補に残りやすくなります。
宴会が動く時期は、年末年始と歓送迎会に集中します。この時期だけ1枚ものを足すやり方もありますが、幹事は毎年同じ時期に、同じ探し方をします。毎年作り直すより、コースと席のページを常設して、受付の開始だけをお知らせで出すほうが、手数が少なく済みます。
多くの飲食店に、先にサイトのほうが向く理由です。
1枚もののLPは、人を連れてくる仕組みとセットで初めて働きます。広告を出している間だけ人が来て、止めた月は誰も来ません。店名で検索した人が着く場所にもなりません。
複数ページのサイトは逆です。派手に人を集める力は無いかわりに、店名で調べ直した人、閉店後に「今から行けるか」を調べた人、幹事が説明する相手を、静かに受け取り続けます。手が離せない時間に鳴った電話も、Web予約なら受け取れます。
そして、サイトがあれば、その中に1枚もののフェア告知を足せます。逆はできません。先にサイトを作って、必要になったときにフェアのページを1枚足す。この順番のほうが、二度手間になりません。
テイクアウトや通販をやっている店も同じです。注文の受け口を1枚に閉じ込めると、季節ごとに中身を入れ替えるたびに作り直しになります。
うちの店だと、どちらから作るか。
店によって答えは変わります。すでに広告を出していて、期間限定の企画で回している店なら、1枚ものが先のこともあります。店名で検索しても自分の店が出てこない店なら、サイトが先です。宴会が売上の柱なら、コースと席のページを持っている形が要ります。
制作費は、トップページ1枚だけなら10万円(税込)から、7ページくらいの構成で25万円(税込)から。何を作るかで決まります。構成を決めた時点で総額が決まります。金額の動き方は費用の考え方にまとめました。
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よくある質問
LPだけ作って、ホームページは作らなくても大丈夫ですか。
期間限定のフェアを広告で回している間は、それで足りることがあります。ただ、広告を止めた月は誰も来ません。店名で調べ直したお客様が着く場所にもなりません。宴会の幹事が社内へURLを送る場面でも、席やアクセスへ飛べないとそこで止まります。長く使うなら、サイトを先に持っておくほうが二度手間になりません。
いま1枚もののページしかありません。作り直しになりますか。
中身によります。写真と原稿がそろっているなら、それをそのまま使って、ページを分けて組み直せます。フェアの告知として作ったページを、そのまま1ページとして残せることもあります。何が使えて何を撮り直すかは、いまのページを見れば分かります。30分の相談でその場でお伝えします。
宴会用に、1枚もののページだけ作ることはできますか。
できます。ただ、幹事が社内へURLを送ったあと、開いた人が席やアクセスを確かめられない形になります。宴会のページは幹事と、幹事が説明する相手の両方が読みます。1枚で作るなら、一人あたりの総額、人数の幅、当日1名減った場合、アクセスまで、その1枚に入れ切る必要があります。
料金・納期・進め方など、記事に関係なくよく聞かれることは よくある質問 にまとめてあります。