手が離せない時間も、予約を受け取れます。
全13章
予約が逃げるのは、店がいちばん忙しい時間です。
電話が鳴っているのは分かっていた。でも、手が離せなかった。飲食店の予約は、この一回で消えます。
閉店後に「今から行けますか」と思った人も同じです。電話がつながらなければ、その人は別の店に行きます。
やっかいなのは、逃げた予約が記録に残らないことです。売上にならなかったこと自体に、あとから気づけません。だからまず、自分の店がどこで逃がしているのかを、業態ごとに一つずつ見ていきます。
電話が鳴る量
店に人がいる時間
棒が高いところが、電話がいちばん鳴る時間です。下の帯は店に人がいる時間で、山はその中にすっぽり入っています。いちばん鳴る時間が、いちばん手が離せない時間だということです。帯の外に来た「今から行けますか」は、店が開くまで誰も受け取れません。閉店後なら、翌日までです。
横は0時から24時までの1日です。形は昼と夜の二部営業の店の一例で、棒の高さは多い少ないの関係だけを表しています。件数ではありません。実際の山と営業時間は、業態と立地で変わります。
業態が違えば、逃げる場所も違います。
同じ飲食店でも、予約が消える瞬間は同じではありません。下の表は、この記事で扱う七つの業態について、どこで逃げているかを一枚にしたものです。
席を長く押さえる業態は、総額が先に読めるかどうかで決まります。居酒屋・宴会、寿司・和食・割烹、イタリアン・フレンチ。幹事も、記念日の一人も、電話をかける前に何店かを並べて比べています。
焼肉・ステーキ、カフェ・ベーカリー、ラーメン・定食・食堂は、空いている時間や中の様子が外に出ていないところで止まります。バー・専門店は、値段が読めない店の扉を、初めての人が開けません。
自分の店に当てはまる行が、たぶん一つはあったはずです。塞ぐ順番は、そこから決めます。
| 業態 | 総額 | 様子 | 時間 | 条件 | 入口 |
|---|---|---|---|---|---|
| 居酒屋・宴会 | 総額 が当てはまる | 様子 は当てはまらない | 時間 は当てはまらない | 条件 が当てはまる | 入口 が当てはまる |
| 焼肉・ステーキ | 総額 が当てはまる | 様子 が当てはまる | 時間 が当てはまる | 条件 は当てはまらない | 入口 は当てはまらない |
| 寿司・和食・割烹 | 総額 が当てはまる | 様子 が当てはまる | 時間 は当てはまらない | 条件 が当てはまる | 入口 は当てはまらない |
| カフェ・ベーカリー | 総額 は当てはまらない | 様子 が当てはまる | 時間 が当てはまる | 条件 が当てはまる | 入口 は当てはまらない |
| ラーメン・定食・食堂 | 総額 が当てはまる | 様子 は当てはまらない | 時間 が当てはまる | 条件 は当てはまらない | 入口 が当てはまる |
| イタリアン・フレンチ | 総額 が当てはまる | 様子 が当てはまる | 時間 は当てはまらない | 条件 が当てはまる | 入口 は当てはまらない |
| バー・専門店 | 総額 が当てはまる | 様子 が当てはまる | 時間 が当てはまる | 条件 は当てはまらない | 入口 は当てはまらない |
- 総額 コースや飲み放題まで含めた総額、チャージ、価格帯が事前に読めない
- 様子 店内・席・料理の写真が足りず、中の様子が見えない
- 時間 営業時間や定休日が最新でない。空いている時間帯を案内できていない
- 条件 団体の可否、個室の有無、記念日の対応、持ち帰りの可否が分からない
- 入口 地域名で探しても見つからない。連絡手段が電話しかない
塗った四角が当てはまる欄です。この記事がその業態について挙げている三つを写しています。深刻さの順位でも、件数でもありません。付いていない欄が起きないという意味でもありません。
逃げ方は、二種類あります。
一つは、受け取れなかった予約です。行きたいと思ってもらえたのに、受け取る窓口がなかった場合です。
もう一つは、選ばれなかった予約です。窓口はあったのに、そこまで進んでもらえなかった場合です。
前者は仕組みで塞ぎます。後者は写真と言葉で塞ぎます。この記事は前者を中心に書きますが、後者にも最後に触れます。片方だけ直しても、もう片方から抜けていくからです。
行きたい、と思ってもらえた
受け取れなかった予約
窓口が無かった
- 手が離せなかった
- 営業時間の外だった
- 連絡手段が電話しかなかった
仕組みで塞ぐ(①〜④)
選ばれなかった予約
そこまで進んでもらえなかった
- 総額が読めない
- 店の中が見えない
- 店のよさが伝わらない
写真と言葉で塞ぐ
左右の幅は同じにしてあります。二つのどちらが多いかは、店によって違います。この記事が中心に書くのは左側で、右側には最後に触れます。
① Web予約。閉店後の「今から行きたい」を受け取る。
24時間いつでも予約を受けられる窓口を、自分の店のサイトに置きます。
効くのは二つの時間帯です。ひとつは営業中。手が離せず、電話に出られない時間です。もうひとつは閉店後。店の電気が消えてから、スマホで店を探している人がいます。
この二つは、電話だけの受付では構造的に取れません。人手を増やしても取れません。窓口の形を変えるしかない部分です。
もう一点、グルメサイトを通さずに自分のサイトから入った予約には、送客手数料がかかりません。その分が、そのままお店に残ります。
電話だけで受けている場合
Web予約を足したあと
上の帯の、塗っていないところが、電話では受け取れない時間です。閉店後の「今から行けますか」は、ここに来ます。開店前に翌日の相談を決める人も、ここです。人手を増やしても、上の帯はこれ以上広がりません。窓口の形を変えるしかない部分です。
帯は0時から24時までの1日です。塗ってあるところが受け取れる時間、枠だけのところが受け取れない時間で、濃さに意味はありません。営業時間は昼と夜の二部営業の一例で、実際の時間は店によって違います。
② タップ電話。電話で決めたい人を、そのまま通す。
Web予約を入れても、電話をなくしてはいけません。
「今日の18時、4人、入れますか」を、文字で入力するより声で聞きたい人がいます。当日の急な予約ほどその傾向が出ます。
スマホからワンタップで発信できるボタンを、画面の下に常時出しておきます。番号を長押しでコピーして、電話アプリに貼り直す。この二手間で、かなりの人が止まります。
電話予約が主のお店でも構いません。むしろ電話が主だからこそ、タップ一回で鳴る状態にしておく価値があります。
③ LINE。予約のあとも、つながったままにする。
Web予約と電話は、その一回を受け取るための窓口です。LINEは、次の一回をつくるための窓口です。
サイトに友だち追加ボタンを置き、予約、クーポン、再来店のお知らせまで接続しておきます。予約が終わった時点で関係が切れる形にしません。
一度来た人に届けるほうが、まだ来ていない人に届けるより安く済みます。新メニュー、季節の入れ替え、臨時休業。この案内が届く相手が店の資産になります。
Web予約・タップ電話
LINE
- 思い立つ
- 予約する
- 来店
- そのあと
- 次の一回
Web予約とタップ電話が受け持つのは、思い立ってから予約が決まるまでです。予約が終わった時点で、そこから先の連絡先は残りません。LINEは、来たあとも、次に思い立つときまでつながったままにする窓口です。
横は予約の一回ぶんの段取りで、時間の長さではありません。五つの区画は同じ幅で描いています。どの区画が長いかは、店とお客様によって違います。
④ 無断キャンセル対策。空いた席を、そのままにしない。
窓口を増やすと、予約は受けやすくなります。同時に、来ない予約も受けやすくなります。ここを放っておくと、Web予約を入れたことが裏目に出ます。
一つは、キャンセルポリシーを予約画面に先に出すこと。何日前まで無料か、当日連絡なしの場合はどうなるか。席を空けたまま損をする回数を減らせます。
もう一つは、事前決済です。コースや宴会、記念日の予約など、席を長く押さえる予約ほど効きます。当日の会計も軽くなります。
全部の予約に付ける必要はありません。人数が多い予約と、コース予約だけに付ける形から始められます。
四つを、どう組み合わせるか。
四つとも同じ重さで入れる必要はありません。業態によって、先に効くものが違います。下の表は、この記事が先に入れることをすすめている窓口です。
Web予約が先に来るのは、席を長く押さえる予約が中心の業態です。居酒屋・宴会、焼肉・ステーキ、寿司・和食・割烹、イタリアン・フレンチ。人数と総額を先に読める形にしてから受けます。日にちも人数も先に決まる団体と記念日には、事前決済を組み合わせます。
タップ電話は、声で確かめたいことが残る業態に効きます。おまかせの相談、持ち帰りの可否、チャージの確認。LINEが向くのは、空いている時間や予約注文を知らせたい業態です。
どれから入れるかは、いまの店の受け方で変わります。全部を一度に入れないほうが、費用も運用も軽く済みます。
| 業態 | Web予約 | タップ電話 | LINE | 事前決済 |
|---|---|---|---|---|
| 居酒屋・宴会 | Web予約 を先に | タップ電話 は先にしない | LINE は先にしない | 事前決済 を先に |
| 焼肉・ステーキ | Web予約 を先に | タップ電話 は先にしない | LINE を先に | 事前決済 は先にしない |
| 寿司・和食・割烹 | Web予約 を先に | タップ電話 を先に | LINE は先にしない | 事前決済 は先にしない |
| カフェ・ベーカリー | Web予約 は先にしない | タップ電話 を先に | LINE を先に | 事前決済 は先にしない |
| ラーメン・定食・食堂 | Web予約 は先にしない | タップ電話 を先に | LINE は先にしない | 事前決済 は先にしない |
| イタリアン・フレンチ | Web予約 を先に | タップ電話 は先にしない | LINE は先にしない | 事前決済 を先に |
| バー・専門店 | Web予約 は先にしない | タップ電話 を先に | LINE を先に | 事前決済 は先にしない |
塗った四角は、この記事が先に入れることをすすめている窓口です。塗っていない窓口が要らないという意味ではありません。いまの受け方によって順番は変わります。
選ばれなかった予約は、写真と料金表で塞ぎます。
窓口を四つそろえても、そこまで進んでもらえなければ意味がありません。
コースと宴会プランは、人数、時間、飲み放題の有無、税込の総額まで書き切ります。幹事は電話をかける前に比べています。ここが曖昧な店は、比べられる前に外れます。料金表も、値段より先に「何が出てくるか」が読める並びに直します。
写真は、いちばん差が出るところです。料理も、店内も、実物より安っぽく写っていることがほとんどです。何をどの角度で撮るかから、一緒に決めます。
カウンター、個室、座敷、テラス。どんな席があるかも写真で見せます。「どんな店か分からない」が消えると、初めての人が予約に進めます。
窓口は、正しい情報の上でしか動きません。
営業時間と定休日を、地図に出ている情報とサイトで一致させます。食い違っていると、それだけで来店を一つ失います。Googleビジネスプロフィールとサイトを同じ内容にそろえておきます。
最寄り駅からの道順、目印、駐車場の有無まで書きます。たどり着けないで消える来店も、予約を逃したのと同じです。
飲食店のサイトは、ほとんどがスマホから、しかも移動中に見られます。スマホでの見え方を基準に設計し、料理写真を多く載せても速く出るようにします。
検索の順位を約束することはできません。地域名と料理名で探されたときに、営業時間も価格も正しく出る状態にすることまでが、こちらでやれることです。
費用と、公開までの期間。
制作費は10万円(税込)から。構成によって決まります。
構成を決めた時点で総額が決まります。修正は3回まで無料です。
金額が動くのは、ページや機能の追加、サイト全体の構成の変更、承認済みの工程のやり直しなど、決めた仕様を超えるご依頼をいただいたときです。着手の前に改めてお見積もりをお出しします(利用規約第6条3項)。
写真と原稿がそろっていれば2週間ほどが目安です。
グルメサイトのような月額の掲載料はかかりません。予約1件ごとの送客手数料もかかりません。
飲食店だけを作っているので、何が要るかをゼロから聞き出す時間がかかりません。省いているのは聞き出す時間で、設計は省きません。
先に答えておきます。
気になっているところだけ、開いてください。
いまの予約システムは、そのまま使えますか。
使えます。お使いの予約サービスと連携させて、予約の受け口だけを自分のサイト側に増やす形にします。台帳は一つのままです。現場が見る画面が二つに増えると、どこかで取り違えが起きるので、増やすのは入口だけにします。いま電話だけで受けている場合も、いきなり全部を切り替える必要はありません。まず一本、24時間受けられる道を足すところから始められます。どのサービスをお使いかによって、つなぎ方は変わります。相談のときに、いまの受け方を教えてください。
四つ全部を入れないといけませんか。
必要ありません。業態と、いまの受け方によって、先に効くものから入れます。全部盛りにはせず、いま効くものから順番に並べます。
事前決済を入れると、お客様が予約をやめませんか。
全部の予約に付ける必要はありません。人数の多い予約とコース予約だけに付ける、といった形にできます。どこまで付けるかは相談のときに決めます。
グルメサイトの掲載は、やめたほうがいいですか。
やめる必要はありません。掲載を切れば、そのぶんの送客が消えます。まず自分のサイトに直接入る道を一本つくって、直接予約の割合を少しずつ増やしていく形がいちばん安全です。減らすかどうかを考えるのは、直接入る道が動き始めてからで間に合います。
公開したあと、自分で直せますか。
CMSを入れておけば、写真もメニューも価格も、スマホから差し替えられます。営業時間の変更や臨時休業のお知らせも、その都度費用はかかりません。ただし、更新の内容によっては静的サイトをご提案することがあり、その場合の更新は当社で承ります(軽微な修正で1回5,000円(税込)から)。
塞ぐ順番は、店ごとに違います。
業態も、いまの受け方も、忙しい時間帯も店ごとに違います。だから、どこから塞ぐかも店ごとに変わります。
①から④を全部そろえるより、いま逃げているところに一つ当てるほうが、費用も運用も軽く済みます。まだ何も決まっていない状態からで大丈夫です。いまサイトが無くても、他社で作ったものがあっても構いません。