「今っぽくしてください」と頼むと、店と合わない見た目になります。
出来上がったサイトを見て、きれいだけれど自分の店に見えない。飲食店の店主から、よく出る感想です。この記事は、デザインを流行で決めずに、店の価格帯と客層から決めるために書きました。
流行の見た目は、毎年入れ替わります。入れ替わるものに合わせて作ると、数年で古く見えます。それ以上に困るのは、店の中身とずれることです。気軽に飲める店が、コース中心の割烹のような見た目になっていると、来た人は最初に身構えます。逆も同じで、丁寧に仕事をしている店が安っぽく見えていれば、その分だけ値段が高く読まれます。
もうひとつ、流行で決めると判断の基準が無くなります。良い悪いを言い合うだけの打ち合わせになり、直しても収まりません。店の価格帯と客層を先に置けば、「うちは詰める側」「うちは空ける側」と決められます。
余白の量は、客単価に合わせて決めます。
見た目の高い・安いを決めているのは、色より先に余白です。写真の周りと文字の周りを大きく空けるほど、静かで高く見えます。詰めるほど、にぎやかで安く見えます。どちらが良いという話ではなく、店に合っているかどうかです。
大衆的な居酒屋なら、写真とメニューを詰めて並べたほうが、店の空気に合います。品数が多いこと自体が売りだからです。寿司や割烹は逆で、1枚の写真を大きく置いて、周りを空けます。文字も減らします。ラーメンや定食は詰める側です。着く前に注文が決まっている状態を作るのが仕事なので、券売機の品書きのように一覧で読ませます。
ここを外すと、写真も文章も良いのに「入りにくい店」に見えます。
迷ったら、いまお店で使っている紙のメニューを見てください。品数を詰めて並べているか、余白を取って組んでいるか。すでにお店の中で答えが出ていることが多いです。
写真の色は、店の照明に合わせます。
撮った写真をあとから明るく補正すると、たいてい店と違う色になります。そして来た人が「思っていたのと違う」と感じます。合わせる先は、流行の色ではなく、店の照明です。
暗いバーなら、暗いまま出します。明るく起こすと、行ったときに別の店に見えます。焼肉は、サシが白く飛ぶと肉が安く見えるので、光を上から当てずに横から入れます。カフェやベーカリーは、窓からの光で撮ったほうがパンの表面が出ます。寿司や和食は、ネタの色をいじらないほうが、仕事の丁寧さが残ります。
撮り方については写真の話にまとめました。デザインより先に、ここで見た目のほとんどが決まります。
ひとつだけ、店の照明に合わせない場面があります。料理を寄りで撮るときです。店の照明が暖色で強いと、料理まで一色に寄ります。ここは光を足して、素材の色が分かる状態にします。店内の写真と料理の写真で、狙いを分けます。
書体は、何を読ませたいかで決まります。
明朝体は、線が細く、字の間が空いて見えます。ゆっくり読ませたい店に向きます。寿司、割烹、コース中心のイタリアンやフレンチ。文章を読んでもらう前提の店です。
ゴシック体は、小さくしても読めます。品書きを一覧で読ませるラーメンや定食、値段を並べる大衆居酒屋はこちらです。券売機の前で迷う人を減らすのが目的なら、雰囲気より読みやすさが先に来ます。
手書き風の書体は、使う量を決めておきます。全部を手書き風にすると、値段まで読みにくくなります。今日のおすすめの一行だけに使う、といった決め方にすると、店の手が入っている感じだけが残ります。
字の大きさも同じ考え方です。夜に片手のスマホで読まれる前提なら、紙のメニューと同じ大きさでは小さすぎます。
同じ商店街の同業と、同じ見た目にならないようにします。
近隣の同業を何軒か開いてみると、どれも似た作りになっていることがあります。グルメサイトの型に合わせて写真を並べていると、店ごとの差が消えるからです。写真の枚数も、並び順も、載せられる項目も、はじめから決まっているからです。
自分のサイトで差が出るのは、色や飾りではありません。最初の画面に何を置くかです。ベーカリーなら焼き上がりの時間。バーならチャージと1杯の価格帯。居酒屋なら宴会の総額と人数の幅。焼肉なら煙と匂いの扱い。同じ業態でも、店が大事にしているものが違えば、最初に出す情報が変わります。ここを変えると、飾りをそろえても似ません。
作りの例は制作サンプルに置いてあります。業態ごとの考え方は居酒屋のページにも書きました。
差を作るのに、費用はほとんどかかりません。最初の画面に何を置くかを決めるのは、お金ではなく判断だからです。
2026年に気にする価値があるのは、流行より見られる場面です。
飲食店のサイトが読まれるのは、店の前、駅のホーム、退勤の電車、閉店後の布団の中です。ほとんどが片手のスマホで、明るさを落とした画面です。会社のパソコンで大きく見る人は多くありません。
だとすると、先に決めるのは飾りではなく、その場面で読めるかどうかです。文字が小さすぎないか。暗い画面で見たときに写真が沈まないか。電話とWeb予約のボタンが、指1本で届く位置にあるか。地図が、そのまま経路案内に飛べるか。
この4つを満たしてから、余った手で見た目を作ります。順番を逆にすると、きれいで使えないサイトになります。
加えて、読み込みの速さも見た目のうちです。店の前で開いて、写真が出るまでに時間がかかれば、その人は店に入る前に画面を閉じます。大きい写真を何枚も並べたい店ほど、ここは先に決めておきます。
うちの店だと、どこから決めるか。
店の価格帯、客層、いちばん見てほしいもの。この3つが決まれば、余白の量も、写真の色も、書体もほぼ決まります。逆に、この3つを飛ばして見た目の話から始めると、何度直しても収まりません。
修正は3回まで無料です。4回目以降は内容に応じて別途お見積もりになります。直しながら探すのではなく、決めてから作る順番にしているのは、そのためです。
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よくある質問
何年かしたら、また作り直しになりますか。
流行の飾りで作ると、古く見えるのが早いです。店の価格帯と客層に合わせて余白と書体を決めておくと、値段やメニューが変わったときに中身だけ直せば足ります。店の照明に合わせて撮った写真も、長く使えます。作り直す前提で作るより、最初に決めきってしまうほうが、結局は手数が減ります。
近隣の店と似た見た目でも、問題ないのでは。
同じ商店街の同業と並んだときに、選ぶ理由が値段だけになります。写真の色と、最初の画面に何を置くかを変えると、そこが変わります。焼き上がりの時間なのか、宴会の総額なのか、1杯の価格帯なのか。店が大事にしているものが違えば、最初に出す情報も違うはずです。
デザインの案は、いくつ出てきますか。
型をいくつか並べて選ぶ形にはしていません。価格帯と客層、いちばん見てほしいものを先に伺って、その店に合う形をひとつ作ります。そのうえで修正は3回まで無料、4回目以降は内容に応じて別途お見積もりになります。案を並べるより、決める材料を先にそろえるほうが早く収まります。
料金・納期・進め方など、記事に関係なくよく聞かれることは よくある質問 にまとめてあります。